タイの晩ごはん

日本での仕事を辞めてタイに移住。ライターとして生計を立てています。非駐在日本人夫婦の生活をご覧ください。

バンコクの老舗日本料理屋『花屋』の変わらぬ味と変わる街

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チャオプラヤ川

 

こんにちは、タイの晩ごはんです。

今日はシープラヤ通りにある日本食料理屋、『花屋』さんに行ってきました。

日本料理店なのに花屋?とは思いましたが、この『花屋』さんはバンコクで一番の老舗の日本料理屋なんだそうです。

 何しろ創業が1931年(昭和14年)と言いますから、今年で86年目にあたるんですね。

飲食店を続けるだけでも大変なことなのに、タイで、日本料理で86年ですよ?凄すぎです。

場所はチャオプラヤ川のほとり,チャルンクルン通りからシープラヤ通りに入ってすぐのところです。

 

このチャルンクルン通りというのは別名をニューロードと言って、バンコクで初めての舗装道路,かつてはバンコク一の繁華街として賑わった通りです。

今でも各国大使館や有名ホテルが並ぶ通りですが、最近開発されたシーロムスクンビット通りと比べると一抹の寂しさを感じるのも無理はありません。

 『花屋』さんも日陰に隠れているわけではないんですが、初めて行くとちょっとわかりづらいかもしれません。

 

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看板はちゃんとあるんですが、建物はどこ?入り口は?

 

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この奥まったところを入っていくんです。

奥にちゃんと入り口と書いてありますが、素通りしちゃいそうですよね。

 

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この案内は表にあったほうが良いんじゃないでしょうか。

それはともかく店内に入ります。

 

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店内は過剰な日本的演出はなく,ちょっとレトロな雰囲気も漂っています。

これも老舗の味わいなのかもしれません。

 

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店内には中曽根元首相が来店したときの写真も飾られていました。

もう30年ほど前でしょうか。

人に歴史ありと言いますが,お店にも歴史がありますね。

花屋さんは自慢のお寿司を始めとして,うどんやカレーなどの庶民的な料理も取り揃えています。

本日の我々のお目当てはこちら。

 

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定食物の中で一番の人気メニュー,日替わり定食です。

公式HPでは155Bとなっていますが,価格改定があったのか現在は180B(≒¥580)ですのでその点はご注意を。ただし10%のサービスチャージはお昼のためか請求されませんでした。

本日の日替わり定食の中身はこちら。

 

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鯛と鮪のお刺身,揚げ出し茄子,小鯛味醂漬焼き。

このお値段でお刺身がついているのは嬉しいですよね。

ではさっそくいただきます。

 

まずはお味噌汁から。

実はタイに引っ越して味噌汁をいただくのは初めてです。

カツオでとったお出汁の香りが口にする前から鼻孔を刺激します。

久々に頂く味噌汁は本当に美味しいですね。

やはり日本人のソウルフードでしょうか。

続いてお刺身。

鯛も鮪も水っぽさは全くなく,ちゃんと美味しいです。

ワサビはさすがに粉山葵ですが,そこは文句言えないですね。

揚げ出し茄子はお出汁の味が染みてて美味しい!

こういう料理はめんつゆで作ると簡単ですが,ちゃんと手間をかけて調理するとしみじみと美味しいですね。幸せの味です。

小鯛の味醂焼きも身がホロホロとして,味醂の甘さと焦げた醤油の香ばしさが食欲を刺激します。

タイ料理も大好きですが,やっぱり和食ってホッとする美味しさですよね。

体中の細胞の一つ一つまで美味しさが染み込んでいくようです。

やっぱりDNAに刻まれた味なのかもしれません。

 

ちなみに花屋さんにはこういうメニューもあります。

 

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ご飯セット,60B(≒¥184)です。

さすがに大人の一食には厳しいですが,小さな子供連れの人には良いですよね。

もちろん味噌汁も煮物も美味しさのレベルは定食と比べても見劣りしません。

 

現在の花屋さんの厨房を取り仕切るのは三代目だそうです。

タイでずっとこの味を守り続けているんですね。

以前はスタッフも日本人だけだったのが,今日のホール担当はみんなタイ人でした。

店内のお客さんもほぼ全てタイ人で占められていました。

チャルンクルン通りのかつての栄光はすっかり影をひそめていますが,そのかわりに落ち着いた通りの佇まいがタイの日常の顔を我々に見せてくれます。

賑わいの中心は移っても,人々と街の様子はそのままここに残っているんですね。

そして花屋さんはそんな通りの一角で,昔と変わらず今も日本の味を提供しています。

一昔前までは客のほとんどは在タイの日本人だったそうですが,今では現地のタイの人たちが自分たちの日常の食事として普通にこの花屋さんの料理を口にしています。

食べ物ってその国の文化を伝える最適の手段ですよね。

花屋さんが日本の文化をタイに根付かせて,そして花屋さんを通して私たちもタイの歴史を知る。変わっていくものと変わらないもの,その両方をここで味わえたような,そんな気がしました。

きっとまたお邪魔します。

 

今日もごちそうさまでした。