タイの晩ごはん

日本での仕事を辞めてタイに移住。ライターとして生計を立てています。非駐在日本人夫婦の生活をご覧ください。

バンコクでまさかのスーチカー発見?@手作りスーチカーの炙りと沖縄そば風クイッティアオ

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こんにちは、タイの晩ごはんです。

ここバンコクは雨季の終わりに差し掛かっているはずですが、ここ数日は不安定な天気が続いています。

天気の悪い日にはスーパーに出かけるのも億劫になりますが、いつも買い物している地元スーパーでちょっと変わったものを見つけました。

 

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こ、これはスーチカーじゃないですか!?

と言っても何を言っているか分からない人のほうが多いかもしれませんね。

「スーチカー」とは伝統的な沖縄料理の素材の一つで、豚の三枚肉(バラ肉)を塩漬けにしたものです。

 

貧しくて芋ばかり食べていた昔のウチナーンチュ。

豚肉はお祝いの時などの特別な時にしか食べられませんでした。

そんな貴重な豚肉を保存するために、冷蔵庫がなかった時代には豚肉を塩漬けにして保存していたわけです。

元々は保存が主な目的でしたが、塩に漬けることによって余分な水分が抜けると同時に熟成が進み、豚肉はより美味しくなるんです。

そんなスーチカーにしか見えないものがバンコクのローカル・スーパーで手に入るなんて…。

これは買って食べるしかないですよね。

 

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こちらが買ってきたスーチカー風豚肉の炙り焼き。

こうやって見るとまごうことなきスーチカー。

豚バラブロックを薄切りにし、フライパンでパッと炙って醤油をちょろっと垂らしただけ。

素材自体が美味しいので、こんなシンプルな調理法で十分なんです。

どれどれ、お味の方は…

 

あれ。あれれ。

 

これ、スーチカーじゃありませんね。

豚肉を塩漬けにしたものではなく、ただ単にボイルしたもののようです。

もちろんこれはこれで美味しいんですが、すっかりスーチカーモードになっていた口の中は思いっきり肩透かし。

 

やっぱりタイのスーパーで本物のスーチカーを手に入れるのは無理なのか…。

そんなら自分で作ってしまえ!

すっかりスーチカー魂に火がついてしまったので、このままでは収まりません。

 

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日を改めて、スーパーで豚バラ肉のブロックを買ってきました。

それにたっぷりの塩を揉み込みます。

 

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塩の効果で肉から出る水分を吸い取るためにキッチンペーパーで巻き、さらにラップでしっかりとくるみます。

このまま冷蔵庫で5日~1週間ほど寝かせたらOKです。

簡単ですよね。

 

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一週間後、しっとりとなった豚肉を流水で軽く洗い流し、塊のままたっぷりのお湯で茹でていきます。

塩抜きも兼ねているのでそのまま茹でて大丈夫ですよ。

お湯が沸騰したら中火で2~30分。

そんなに出ないとは思いますが、アクが出てきたら丁寧にすくいましょう。

 

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こちらが茹で上がったスーチカー。

この時点ですでに美味しそう。

このまま冷蔵庫にしまえばさらに1週間ほどは軽く持ちます。

 

では、リベンジのスーチカーの炙りをば。

茹で上がったスーチカーを0.5~1cmの厚さにスライスして、中火のフライパンでさっと炙りましょう。

豚肉自体から油が出てくるので、それ以外の油は必要ありません。

表面に軽く焦げ目がついたら醤油で香り付け。

こちらが完成した正真正銘(?)スーチカーの炙りです。

 

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見た目は最初のものとそんなに変わらないかもしれませんが、口の中に含むと違いは明らか!

塩の効果で豚肉がワンランク上の食材にレベルアップ。

たっぷりのお湯で茹でたため油っぽさも消え、なおかつ旨味がギュッと凝縮されて本当に美味しい。

このままご飯で食べても良いんですが、やっぱりビール、泡盛があると最高ですね!

茹でたスーチカーは冷蔵庫で1週間保存可能と書きましたが、我が家では1週間ももたずにすぐに食べきってしまいます。

時間こそかかるものの、家庭でも簡単にできるスーチカー。ぜひ一度お試しください。

 

そしてこのスーチカーを茹でた茹で汁ですが、これ自体も美味しい出汁が出てますから捨てるのはもったいない。

スープにしてもいいんですが、せっかくなのでさらに沖縄料理を追求してみましょう。

 

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スーチカーの茹で汁を使った沖縄そば風クイッティアオです。

麺は幅広のセンヤイを使いましたが、こうして見ると本当に沖縄そばっぽく見えますよね。

この沖縄そば風クイッティアオの作り方も簡単。

鰹節で濃いめの出汁を取り、スーチカーの茹で汁と1:1の割合で混ぜ合わせます。

(本場の沖縄そばのスープも豚骨ベースダシとカツオベースダシの合わせ出汁なんですよ)

塩と酒、醤油で味を整えたらスープは完成。

半生麺のセンヤイを一度お湯で戻し、スープを注いだらスーチカーの炙り、薄焼き卵、ネギなどのお好みのトッピングを添えれば完成です(紅生姜があるとなおよし)。

沖縄ではここに唐辛子の泡盛漬、コーレーグースを垂らすんですが、タイなので自家製プリックナンプラー(唐辛子のナンプラー漬)を使ってみたらこれがビンゴ!

スープは沖縄、麺はタイという丼の中で並び立つ両者をプリックナンプラーが上手に結びつけてくれました。

もちろん麺の食感は沖縄そばのそれとは全く違いますが、これはこれでとっても美味しかったですよ。

 

沖縄と同じく豚肉が手軽に手に入るバンコクでスーチカーづくり。

沖縄そば風クイッティアオと合わせて我が家の定番になりそうです。

 

今日もごちそうさまでした。