(バンコクのスコール)
こんにちは,タイの晩ごはんです。
ここバンコクは本格的な雨季のシーズンに突入しました。
タイの雨季は日本の梅雨とはちょっと趣が異なります。
シトシト雨が降り続くというよりも,雷を伴う激しい雨がしばらく降り続くんです。
日本でも最近は珍しくなくなったスコールですが,雨季のバンコクではエブリデイ・スコールってなもんです。
この日も地下鉄を降り立つとそのスコールに襲われます。出口でしばらく雨宿りをしていると,突然謎のおじさんが現れました。
激しい雨の中颯爽とバイクでやってきたおじさん。
フルフェイスヘルメットのまま,雨で足止めを食らっている人たち相手にレインコートを売りに来たんですね。
これぞ救いの手とばかりに,一つ30B(≒¥96)のレインコートが飛ぶように売れていました。
その場にいる人にあらかた売りつくしたのか,しばらくするとこのおじさんは次の駅を目指すのか,冠水して波打つ道路の中を再びバイクで去っていきました。
うーん,タイ人もなかなか商魂たくましいですね。
こんな風に何かとペースが狂わされてしまうスコールですが,雨季のタイにも良いことがあります。
それは様々なフルーツがこの時期まさに旬を迎えるということですね。
雨季が旬のタイのフルーツ
この時期スーパーに行くと,色とりどりのフルーツで溢れんばかりです。
まずはこちら。マンゴスチンとフルーツの王様,ドリアンです。
ドリアンも今がまさに旬の時期で,スーパーだけではなく道端の屋台でも普通に売られています。
ドリアンは1個丸々というよりも,このようにパック詰めされているのを買うのが一般的です。
1パック2kgちょっととたっぷりのドリアンが235B(≒¥752)。
さすがフルーツの王様。お値段もプレミア級です。バンコクで200Bあったらちょっといいレストランで食事できますからね。
ドリアンは臭いというイメージを持たれている方も多いと思いますが,新鮮なドリアンはそんなこともなく,口にするとねっとりとろけて極上のチーズケーキのようです。
一度食べて病みつきになる人も多いドリアン。本場のタイで一度どうですか?
お隣のマンゴスチンも日本ではまだ馴染みが薄いフルーツですよね。
厚めの皮の中には真っ白な果肉が詰まっています。
味はライチに似ていますが,ライチよりもさらに味が濃く,とても美味しいんです。
程よい酸味も合わさって,食べ始めると止まらなくなりますよ。
こちらはマンゴーですね。
タイでは1年中見かけるマンゴーですが,今が一番美味しい時期になります。
日本の高級アップルマンゴーとは違って,タイのペリカンマンゴーはこちらの値札だとキロ49~85B(≒¥156~272)ととても安く,庶民的なフルーツなんですよ。
山積みになって売られているのはランブータン。これも日本では見かけることが少ないかもしれませんね。
植物学的にはライチの従兄弟のようなものなので味もそれに近いですが,スッキリとした甘さでこっちのほうが美味しい気がします。見た目と違って繊細な味わいなんですよ。
巨大なルックスで異彩を放っているのはポメロ。
みかんの一種なんですがとにかく大きくて,一つ2~3kgなんていうのはザラです。
味はほぼグレープフルーツなんですが,酸味は弱めで食べやすく,とても美味しいんです。が,一つ大きな欠点が。それは皮がとても厚くて剥きにくく,食べるのがとても大変なんですよね。
それでこんな風にちゃんとと皮がむかれたものを買って食べるのが一般的です。
やはりタイ人も思うところは一緒なんですね。
ただ,むき身のポメロは1パック70B弱(≒¥224)とちょっと割高です。楽をとるか,安さをとるか…悩ましい存在です,ポメロって。
売り場には他にもみかんやスイカ,メロンにぶどうと日本でもお馴染みのフルーツが所狭しと並べられ,しかもドリアンやパック詰めのポメロといった一部を除いてみんなとても安いため,果物好きにとってはまさに楽園。
あえて雨季を狙ってタイにやってくるのもありかもしれませんよ?
さて,本日の晩ごはんです。
いくら果物が安くて美味しいとは言っても,やっぱり晩ごはんにはなりませんからね(もちろんそれでも良いと言う人もいるとは思いますが)。
トマトと卵豆腐のスープにサラダ,そしてこちらが本日の目玉です。
一見するとただの鶏手羽の煮物のようですが,実はこれ,台湾の麻油鶏(マーユーチー)という料理が元になっています。
台湾では冬に備えて栄養を補給する「補冬(ボータン)」という習慣があって,その代表的なメニューがこの麻油鶏なんだそうです。
もちろんタイに冬があるわけではないんですが,酷暑から雨季へと季節の変わり目の今の時期,体調を整えるのにぴったりかもしれません。
麻油鶏は本当は鶏手羽のスープなんですが,今日はその鶏手羽を中心に持ってきちゃいました。
作り方は,スライスした生姜をごま油で炒めたら,鶏手羽に焦げ目がつくまで焼いていきます。そこに水と酒を注いてしばらく煮込み,塩・コショウ,香り付けの醤油を少したらせば出来上がり。
とっても簡単ですが,味わいはなかなかに奥深い。
鶏手羽はホロホロに煮込まれて,歯を当てただけで骨から身がはずれます。
生姜の香りを吸ったお肉は素朴ながらも滋味深い味わい。
優しい味なので,しみじみと美味しさが体の中に染み込んでいきます。
スープは鶏肉のダシとごま油の風味,生姜の香りが渾然となって思わずため息が出る美味しさ。
スープが残ったらご飯にぶっかけて,お手軽雑炊のようにしていただくとこれまたたまりません。
水と酒を継ぎ足して,煮込めば煮込むほどさらに美味しくなりますよ。
元が台湾料理なので,ホットの紹興酒が一番合いますが,焼酎のお湯割りと合わせても良さそうですね。
梅雨が間近の日本でも,ぜひ一度お試しください。
その場合は「補冬(ボータン)」ではなく,「補雨(ボーユィ)」になるんでしょうか?
今日もごちそうさまでした。