(シーサー気分?)
こんにちは,焼き物大好きタイの晩ごはんです。
日本は各地に様々な焼き物がありますよね。
皿をキャンバスと捉え,真っ白な皿の上に絵を描くように盛り付けるフレンチと違って,日本には色も形も大きさも様々な特色を持つ器(焼き物)が存在します。
ステキな器に盛り付けると,それだけで料理も美味しそうに見えますもんね。
今回沖縄に帰省した大きな目的の一つが,食卓に華を添える焼き物を手に入れることだったんです。
沖縄では焼き物のことをやちむんと言いますが,最大の特徴はやはりその素朴さ。
厚めの土に魚や植物などの沖縄の自然を大らかに絵付けしたやちむんは,見るからに温かで優しい印象をうけます。
特別な工芸品としてではなく,普段使いとして日常的に用いたい。そんな焼き物なんですね。
沖縄でやちむんを買おうと思うと,真っ先に思い浮かべるのが那覇市・壺屋にあるやちむん通り。
沖縄のやちむん発祥の地である壺屋のやちむん通りには昔ながらの伝統的なやちむんのほか,現代的なエッセンスを加えたオシャレでカワイイやちむんなど,様々な工房やショップが通りに連なっています。
国際通りからもほど近いため手軽にやちむんを買えるだけではなく,散策するだけでも楽しいやちむん通りですが,今回のお目当ては別にあります。
それがここ。
読谷村(よみたんそん)の『やちむんの里』で開かれる,読谷山焼(ゆんたんざやき)の陶器市です。
やちむんの本場といえば壺屋ですが,現在の沖縄のやちむんの一大拠点地といえばここやちむんの里。
人間国宝の故・金城次郎氏が人口の密集し,焼き物づくりに適さなくなってきた那覇市から読谷村に移ったのをきっかけに,多くの陶芸家がここ読谷村に工房を構えるようになりました。
そのやちむんの里で毎年12月の第三金・土・日に開かれるのがこのやちむん市(陶器市)です。
ベテラン作家だけではなく,若手作家もこの日のために仕上げた自慢のやちむんを広げ,お目当てのやちむんを目指して多くの人が訪れます。
写真のように,このやちむん市ではほとんどのやちむんが定価の2~3割引きで売られているため,それこそ飛ぶようにやちむんが売られていきます。
売り子さんも大忙しですが,この期間中はやちむんの里でも年に一度の稼ぎ時。
この時に数を売らないと従業員に給料も出せないと作家さんが笑って教えてくれました。
(もちろん冗談ですよね?ホントだと笑えませんが,沖縄だとありえるところが結構怖い…)
実は2月の最終土日に別会場で開催される『読谷やちむん市』の方が規模は大きいのですが,あえてこの読谷山やちむん市に的をしぼったのはそれなりの理由があります。
それがこちら。
このやちむん市ではB級品をアウトレットセールしているんですね。
B級品とは言っても,ちょっとしたキズがついていたり,釉薬のムラがあったりするだけで,日常的に使う分には全く問題ありません。
もともとやちむんは日常使いにこそ真価を発揮すると信じている私にとっては,まさに宝の山のようなものです。
もちろん同じように考えている人も多く,3日間開催されるやちむん市ですが,目玉品は初日の午前中にあらかた売り切れてしまう程です。
今回はこちらの出足が遅く,初日の午後の参戦となってしまったのですが,それでもなんとか掘り出し物をゲットすることができました。
会場中を歩き回って,お気に入りかつ破格の値段で購入したやちむん達です。
一番左上の丸皿は一枚800円。
その隣の深皿が1000円。
一番右端の背の高いタンブラーが400円。
その下の三角皿はなんと100円(これはちょっと大きなキズがあります)。
中央右,4つあるカップの内3つが300円で残り一つが400円。
茶色の丸皿が一枚300円。
その下の楊枝入れが各100円。
真ん中下のお猪口が200円。
合計5300円(税込)です。
正規の値段で買うと2~3倍は軽くしますから(タンブラーはキズ無しだと2000円位),まさにお値打ち品でしょう?。
毎日の生活で使う食器ですから,お手頃価格でかつしっかりとした焼き物を購入できるやちむん市は本当に嬉しいイベントです。
タイで売っている日本の焼き物は輸入品なので割高,タイのローカルの焼き物はそこらで売っているものはちょっとイマイチなものが多いので,今回の帰省をやちむん市のタイミングに合わせたのは大正解。
本当はお皿やお椀類をもうちょっと欲しかったのですが,出遅れたのが響いてしまいました…。
今年のやちむん市はもちろん終わってしまいましたが,やちむんの里は普段訪れてもちゃんと買えますし(いくつか買うと値引きもしてくれる),慌ただしくない分工房の人とゆっくり話すチャンスもあるので(自前のやちむんにコーヒーを淹れて出してくれるところまであります),沖縄観光の一つとしてぜひ組み入れてほしいですね。
やちむんの里を訪れた後に(前でももちろんいいですが)腹ごしらえをするとすればここしかありません。
やちむんの里のすぐ近く,国道58号線沿いにある食堂『ゆいまーる』です。
”ゆいまーる”とは沖縄の方言で「絆」とか「助け合い」という意味。
その名の通り,このゆいまーるは障害者支援を目的の一つとして運営されています。
でももちろん味はちゃんとしています。というか美味しいんですよ!
こちらがそのメニュー。
色々あって悩みますが,こちらでぜひ食べていただきたいものの一つがこちら。
てびち煮付け定食(¥800)です。
ご飯は+100円でジューシーに変更できます。浜屋と同じシステム ですね。
それにしても見てくださいこのボリューム!
黒々として大ぶりのテビチ(豚足)が4つも入っています。
豚足はお好き? のトピックでも書きましたが,豚足を見た目だけで敬遠するのはもったいないですよね。
特に沖縄の豚足(テビチ)は足先ではなくて腕の部分ですから,見た目もマイルド(?)ですし,なによりコラーゲンの塊のようなものですから,女性にこそ食べてほしい食材。
トロトロに煮込まれたテビチは箸でつまんだ先から崩れていきます。
口の中に頬張ると,プルプルフワッフワで歯も要らないくらい。
濃い目にしっかりと煮染められたお肉はご飯にピッタリです。
大根,人参,厚揚げ,昆布,キャベツの副菜は逆にあっさりと炊き上げられていて,豚肉の旨味で充満した口の中をサッパリとさせてくれます。
この他に漬物,小鉢,ミニ沖縄そばがついて800円なら格安じゃないでしょうか。
もう一品,ゆいまーるに来ると必ず注文するのがこちら。
ゆしどうふ定食(¥500)です。
浜屋のゆしどうふそば でも語らせていただきましたが,沖縄ではにがりを打って固める前のゆし豆腐を味噌汁代わりにいただきます。
一般の豆腐はにがりを打った後に固めて重しをかけて水分を抜くので,当然豆腐の旨味が水分と一緒にある程度抜け出てしまいます。
一方ゆし豆腐はにがりを打った後,固まりかかった豆腐(の素)を汁ごとすくって食べるので,豆腐の旨味がそのまま味わえるんですね。
このゆし豆腐だけでもいくらでも食べられそうな美味しさですが,追加でフーチャンプルーも注文しちゃいました。
定食料金-100円で単品の注文も出来るんです。
写真は上のゆし豆腐と単品のフーチャンプルー(700円)を入れ替えたもの。
沖縄料理のド定番と言えばゴーヤーチャンプルー。
もともとチャンプルーとは「混ぜ合わせる」という意味で,メインの具材がゴーヤーの時はゴーヤーチャンプルー,それ以外の具材を使うとその具材の名前がついて「◯◯チャンプルー」という呼び名になります。
フーチャンプルーはその名の通りお麩をチャンプルーにしたものです。
お麩と言ってもお清汁に使うような丸っこい小さいものではなくて,車麩と呼ばれる直径が10cm,長さが30cmほどはある立派なお麩。
その麸をちぎって水に戻し,卵液にくぐらせた後炒めたものがこのフーチャンプルーです。
お麩独特のグルテンが生み出すクニュクニュとした食感,それにもやしや玉ねぎ,ニラの歯ごたえと香り,そしてこれまた沖縄名物スパム(地元民はポークと呼んでいます)の塩気と旨味が口の中いっぱいに広がってこの上なく美味。
チャンプルーはそれこそ沖縄中色々なところで食べられますが,このゆいまーるのチャンプルーは本っ当に美味しいんです!
テビチの美味しさに舌鼓をうち,ご飯を一口。ゆし豆腐で口の中をリセットさせたあとにフーチャンプルーを頬張ってご飯をワシワシ。再びテビチを食べながら合間に小鉢の油味噌を舐めつつさらにゆし豆腐を…。あぁ,美味しさの無限ループ。ご飯はおかわりまでできちゃいますし。
とは言ってもさすがに二人でこの量を平らげるのはさすがにキツイ。
でも心配はいりません。
沖縄の食堂ではどこでもお持ち帰り用の容器を用意してくれています。
食べきれなかったものはテイクアウト出来るんですね。
強者になると,沖縄そばやソーキ汁のような汁物もビニール袋に入れてお持ち帰りしちゃいます。
これじゃあカレーやスープをビニール袋に入れて販売しているタイと変わらないじゃないですか!(タイではさらにジュースもビニール袋に入れちゃいます)
こんなところにもタイと沖縄の共通点が…。
それはさておき,食べ残しを持ち帰るのはドギーバッグが当たり前のアメリカ文化の影響かもしれませんが,食べ物をムダにしなくてすむのはエコでとても良いですよね。
こんな風に安くて美味しくてボリューム満点のゆいまーるですが,写真を見て気づかれましたか?
そう,ここゆいまーるで使われている食器はすべて読谷のやちむんなんですよね。
この食堂の性格上,おそらくは作家さんのご厚意で寄付されたか,格安で仕入れられたんだと思いますが,この値段帯の食堂ですべてやちむんを使うというのは贅沢な話です(どの料理よりも器の方が値段が高い)。
普通に食べるだけでも十分満足できるのに,やちむんのおかげで目の保養までできて,お腹も心もいっぱいになる食堂ゆいまーる。
やちむんの里の行き帰りだけではなく,那覇市からリゾート地の恩納村を結ぶ国道58線沿いにあるため,観光の途中にでもぜひお立ち寄りください。
ちなみに食堂の隣は読谷村の共同販売センターになっていて,やちむんの展示・販売も行っています。
ここまで来てやちむんの里を素通りするというのももったいない話ですが,こちらでは作家別に作品が並べられているので,ここで自分のお気に入りの作家さんを見つけた後にやちむんの里に向かうというのも良いかもしれませんね。
今日はたくさんのやちむんを買って,沖縄料理をたくさん食べて,大満足の一日でした。
毎日の料理に使って真価を発揮する沖縄のやちむん。
今度の沖縄旅行の際に,ぜひご自分のお気に入りの器を見つけてみませんか?
今日もごちそうさまでした。