タイの晩ごはん

日本での仕事を辞めてタイに移住。ライターとして生計を立てています。非駐在日本人夫婦の生活をご覧ください。

タイの地方のご当地グルメとは?@スワンプーンの牛肉煮込み

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こんにちは、旅行では必ずその土地の美味しいものを探してしまう、タイの晩ごはんです。

日本は地方ごとに本当に特色ある食べ物が色々とあって、それ自体が旅行の楽しみというか目的になりますよね。

ところが、ここタイでは少し様子が異なります。

というのも、タイではどうやら地方の名物料理というものがあまり存在しない。

タイ東北地方のイサーン料理こそ有名ですが、バンコクでもイサーン料理を出す店は多いですし、元々はイサーンの郷土料理だったソムタムやガイヤーン、ラープなどはもはや、タイ料理を代表するメニューとなっています。

北海道のジンギスカンとか、山形の芋煮とか、山梨の吉田うどんとか、福井のソースカツ丼とか、名古屋のひつまぶしとか、広島のお好み焼きとか、徳島の徳島ラーメンとか、福岡のモツ鍋とか、沖縄のソーキそばとか、その土地を訪れたら、これだけは必ず食べておけ!という、ご当地グルメ。これが、タイにはあまり無いのです。

 

そのことを実感したのが、先日旅行でカンチャナブリーを訪れた時のこと。

せっかくの機会なので、以前はカンチャナブリーに住んでいて現在はお隣のスワンプーンに住む友人におすすめの店を紹介して!と尋ねたところ、教えてくれたのはピザ屋さんとか、カフェとか、そんなのばかり。

そうじゃないんだよ!地元でしか食べられない、ご当地グルメ的なものを教えてもらいたいだ!

と力説したところ、そんなものはありません。と、なんとも拍子抜けする答え。

ほぼジモティーの友人がそういうのだから、そうなのでしょう。

なんと、観光地としても有名なカンチャナブリーでさえ、食べられるのはほぼバンコクと変わらないというのです。

ガーン…。

これでは、旅行の楽しみが減ってしまう。

タイ人は一体何が楽しみで、旅行するというのでしょうか?

 

すっかりカンチャナブリー旅行のテンションが下がってしまったのですが、それで予定を変更するわけにもいかず。

カンチャナブリー着の前に、スワンプーンのその友人を拾った時間がちょうどお昼時。

この辺で何か食べようよ。どっかいい店ある?

そこで、友人が教えてくれたのがこのお店。

いわゆる、タイのローカルレストランですね。

適当におかず乗せご飯とか、ヌードルでも食べようか。

そう思って、あまり期待もせずにこちらのメニューを眺めてみます。

こんな地方のローカルレストランで、英語や日本語のメニューがあるはずもありません。

友人のおすすめは、上から3番目の「กะเพราเนื้อตุ๋น(ガパオ・ヌア・トゥン)」。

ガパオはいわゆるガパオ・ライスのガパオですね。タイのホーリーバジルのこと。

ヌアは牛肉、そしてトゥンは煮込み。

つまり、牛肉とバジルの煮込み料理というわけですね。

タイ料理で牛肉とは珍しい。

というのも、当ブログでも度々お伝えしていますが、タイ人は牛肉をあまり食べないのです。

これをご飯に乗せるか、麺料理やスープ仕立てにもできるんだそう。

友人のおすすめということもありますし、ご飯乗せと麺の両方を注文しました。

まず運ばれてきたのが、クイッティアオ(ヌードル)。

ほうほう、確かに牛肉の煮込まれたものが乗っていますね。

麺は好きなものを選べますが、中太米麺のセンレックをチョイス。

スープはあっさり系で、バンコクでも屋台などでよく食べられる味。

なるほど、やはりタイはどこに行っても料理のバリエーションに大きな変わりは無いのだな…と、牛肉を頬張ってみると…

 

!!!!!!

 

なにこれ!

めっちゃ美味いんですけど!!

牛肉がホロホロに煮込まれていて、噛みしめる前に溶けてしまう。

スパイスが効いているのか、タイの安い牛肉にありがちな臭みも全くない。

タイ風の牛すじ煮込みと言えば伝わるでしょうか?しかも、そんじょそこらの居酒屋ではお目にかかれない、最上級の煮込み。

この牛肉煮込みをご飯に乗せたら、どんな至福が待ちうけているんだろう…。

と予想に打ち震えている頃に、それがやってきました。

分かりますか?目玉焼きの下に、しっかりとホロホロの牛肉煮込みが潜んでいることが。

これがもう!!

めっちゃ美味い!!!

言葉にするのが面倒になるほど、ただひたすら旨い。

クイッティアオの時点である程度予想はできていたのですが、その予想通り。いや、予想を上回る美味しさです。

これですよ、これ。求めていたものは!

タイにはご当地グルメが無いと言いますが、しっかりこんなに美味しいものがあるじゃないですか!

友人によると、この料理自体は特別なものではなく、バンコクにもあるんだそう。しかし、これまでお目にかかったことはありません。

もともと牛肉を食べる文化がないので、あるところにしかない料理、というものなのかもしれませんね。

もう夢中になってご飯とヌードルをかっ込み、あっという間にお皿は空っぽになってしまいました。

幸せ…。

とここで友人曰く、このガパオの部分はお店の人に頼めば、色々変更できるんだそう。

 

ほう?

 

ならば、いってみましょう。

最近気にいっているタイ野菜の「カナー(いわゆる芥藍またはケールのこと)」で、もう一品作ってもらうことにしました。

え、まだ食べるの?と友人。

呼ばれた店員さんも、器を下げるのかと思いきや、まさかの追加オーダーに少し驚愕の表情。

まるで、孤独のグルメの五郎さんになったような気持ちです。

こちらが、カナーと牛肉の煮込み。

爽やかな苦味と風味が特徴のカナーと、牛肉がこれまたよく合う。

個人的には、バジルよりもカナーの方がさらに好きかな。

こちらも、あっという間に完食してしまいました。

いやー、美味かった。

これでどちらも一皿50B(≒¥200)ですから、幸せすぎます。

 

バンコクからわざわざこのために訪れることはないとは思うのですが、一応お店の場所もシェアしておきしょう。

もしカンチャナブリーに車で行くことがあれば、少し遠回りして寄られてみてください。

そのくらいの価値はあると思います。

バンコクでも、この牛肉の煮込み料理を出してくれるお店を探さなければ。

何か情報をお持ちの方は、ぜひお知らせください。

 

タイには確かに地方ごとの名物料理はあまり無いのかもしれませんが、それでもやはりその土地々々の絶品料理というものはあるわけです。

これもある意味、ご当地グルメ

探せばまだまだ、出会っていない絶品グルメがあるのでしょう。

 

今日もごちそうさまでした。